第2原則:トレンドには3種類ある

基礎編 - 第2回

第2原則の概要

ダウ理論の第2原則は「トレンドには3種類ある(The Market Has Three Trends)」です。ダウは、市場のトレンドを期間の長さによって「主要トレンド」「二次トレンド」「小トレンド」の3つに分類しました。これらの3つのトレンドは同時に存在し、お互いに入れ子構造(フラクタル構造)を形成しています。

この概念を理解することは、相場分析において非常に重要です。なぜなら、「今起きている値動きが、どの時間軸のトレンドなのか」を判断できないと、短期的な調整を暴落と勘違いしたり、一時的な反発をトレンド転換と誤認したりする原因になるからです。

主要トレンド(プライマリートレンド)

主要トレンドは、1年以上(多くの場合2〜4年)継続する長期的なトレンドです。いわゆる「強気相場(Bull Market)」や「弱気相場(Bear Market)」がこれに相当します。ダウ理論において最も重要なトレンドであり、投資家が最も注目すべき対象です。

主要トレンドの特徴は以下の通りです。

  • 上昇の主要トレンド:高値と安値が順次切り上がっていく
  • 下降の主要トレンド:高値と安値が順次切り下がっていく
  • 一度始まると数年にわたって継続する
  • 転換には明確なシグナル(第6原則で解説)が必要

二次トレンド(セカンダリートレンド)

二次トレンドは、3週間から3ヶ月程度続く中期的なトレンドです。主要トレンドに対する「調整」として出現することが最も多く、上昇の主要トレンド中の一時的な下落や、下降の主要トレンド中の一時的な反発がこれにあたります。

ダウの観察によると、二次トレンドは主要トレンドの値幅の1/3から2/3程度を戻すことが多いとされています。例えば、主要トレンドで株価が3,000円上昇した場合、二次トレンドの調整は1,000円〜2,000円程度の下落になりやすいということです。

二次トレンドの見極めが重要な理由
多くの初心者は、二次トレンド(一時的な調整)を主要トレンドの転換と勘違いして売却してしまいます。逆に、主要トレンドの転換を二次トレンド(一時的な反発)だと思い込んで保有を続けてしまうこともあります。当サイトのフェーズスクリーニングを活用すれば、日足と週足のフェーズを同時に確認でき、判断の精度を高めることができます。

小トレンド(マイナートレンド)

小トレンドは、3週間未満の短期的な価格変動です。日々の株価のゆらぎやノイズに近い動きであり、ダウ理論では最も重要度が低いトレンドとして位置づけられています。

ダウは小トレンドについて「操作の対象になりやすく、予測が困難」と述べています。短期的な値動きは、大口投資家の売買や一時的なニュースによって大きく左右されるため、安定した分析対象にはなりにくいのです。

ただし、小トレンドが集積して二次トレンドを形成し、二次トレンドが集積して主要トレンドを形成するという関係は理解しておく必要があります。

3つのトレンドの関係

ダウは3つのトレンドの関係を、海の波に例えて説明しています。

  • 主要トレンド = 潮の満ち引き:大きな流れであり、簡単には変わらない
  • 二次トレンド = 波:潮の方向に逆らう波もあるが、全体の方向は変えられない
  • 小トレンド = さざ波:表面的な揺れであり、大きな方向性とは無関係

このメタファーは非常にわかりやすく、投資判断においても有用です。潮(主要トレンド)が満ちている時に、波(二次トレンド)で一時的に水位が下がっても、すぐにまた上昇します。投資家が注目すべきは「潮の方向」であり、「さざ波」に一喜一憂するべきではないのです。

タイムフレームとの対応

現代のチャート分析では、ダウ理論の3つのトレンドを異なるタイムフレーム(時間軸)で確認することが一般的です。

トレンド 期間 チャートの時間軸
主要トレンド 1年以上 月足・週足
二次トレンド 3週間〜3ヶ月 週足・日足
小トレンド 3週間未満 日足・時間足

当サイトのフェーズ分析との対応

当サイトでは、個別銘柄のフェーズを「日足」と「週足」の2つのタイムフレームで判定しています。これは、ダウ理論の第2原則を実践するための重要な機能です。

例えば、ある銘柄の週足フェーズがUPで日足フェーズがDOWNの場合、「主要トレンドは上昇中だが、二次的な調整(一時的な下落)が発生している」と解釈できます。フェーズ変化一覧では、このような複合的な状況の変化も確認できます。

まとめ

ダウ理論の第2原則「トレンドには3種類ある」は、相場の値動きを理解するための基本的なフレームワークです。主要トレンド、二次トレンド、小トレンドの3つの層を意識することで、一時的な調整なのかトレンドの転換なのかを冷静に判断できるようになります。

次の記事では、第3原則「主要トレンドは3段階からなる」を解説します。トレンドの内部構造を理解することで、「今、トレンドのどの段階にいるのか」を判断できるようになります。

TATSU_dev
TATSU_dev

ソフトウェアエンジニア / 現役トレーダー。ダウ理論に基づく日本株フェーズ分析ツールを開発・運営。